大山典宏 生活保護 vs ワーキングプア読了。
ケースワーカーの経験もある筆者による、生活保護の現状。
この新書を読む限りでは、政策決定者と現場との乖離(色々な意味で)で、
所謂貧困層が随分迷惑を被っているのだなぁとしみじみ思う。
感想と摘要以下の通り。
生活保護申請は、役所は必ず受理しなければならない。受理しなければ違
法。通すか否かは受理した後の審査による。ただし、審査で落ちることは
それほど多くは無いようだ。
申請を受けた役所は必ず受理しなければならないから、そもそも申請書を
渡さずに追い返すという手を使ったケースもある。例えば北九州市など。
キーワードは自己責任。この言葉に泣かされているワーキングプア
層がどれほどいることか。
一方で、受給資格を悪用する者がいることも事実。悪用者を排除できない
ことで批判されるのは、結局は現場のケースワーカーだったりする。そう
した批判がケースワーカーの志気を減衰させ、さらなる悪循環に陥ってい
ることも事実。
生活保護はどこか遠い世界の話ではなく、もっと一般的なセイフティーネ
ットである。もっとも、その制度設計は複雑で非常にわかりにくいために、
そのようには働いていないが。ちょっと躓いた人が気軽に利用して普通の
社会生活に戻っていくことにより、極論であるが、社会は納税者を失うこ
とを防ぐことにもつながる。
朝日新聞の耕論のテーマは「それってサヨク?」。
記事よりも気になる記載有り。
5月 「超左翼マガジン ロスジェネ」刊行へ
へ〜、ついにそんな雑誌まで出ますか。
すぐに廃刊になるような世の中にならんことを祈る。
勿論、世の中が良くなって、
ロストジェネレーションが「ロスト」で無くなる世の中になって、
という意味で。
…が、当面は無理だろうなぁ。
http://losgene.org/
http://journal.mycom.co.jp/news/2008/01/10/014/
ネットカフェ難民のサポート事業開始。
良いことだとは思うが、金のある東京都しかできない事業ではある。
住居資金の貸与はともかく、保証人はどうするのだろう。
貸与だけでなく、住宅そのものの貸与事業も、
例えば都市整備公団等とタイアップしてやるべきではなかろうか。
ネットカフェ難民になる要因の一つに、
そもそも「借りられる」住宅を見つけられないこともあるからだ。
この「借りられない」理由の一つに、
文献では、親族との不仲により、
金が借りられない・保証人が見つからない等が挙げられている。
前者はこの事業で少しは改善するとして、後者はなかなか難しい。
一応、保証人業者は存在しているが、
普通の人がそのような業者を容易に探すのは困難である。
レオパレス21のように、保証人不要な賃貸物件もあるが、
これらは、家賃が1日でも滞納するとその場で即退去となるため、
経済的に不安定なワーキングプア層が安定して利用することは難しかろう。
http://rikunabi-next.yahoo.co.jp/02/database_rank2007/database_rank2007_1.html?vos=nynmyajb0103029
相変わらず単なる集計であって統計的に何かやっているわけではないので、
それがどうだと言うつもりは無いが、
お仕事に満足できるかどうかは、
結局バランスが一番大事なんだよなぁ…。